STATEMENT
今回「30」というテーマを与えられたとき最初に浮かんだのは一本の木だった
木には年輪があるように人にも積み重ねた時間がある三十年という時間を生きてきた自分はどんな年輪を描いているのだろう
そんなことを考えながら山へ向かい木を撮り始めた
けれど撮れば撮るほど気になったのは木そのものではなく自分がどんな木に目を向けているのかということだった
気づけば近くにある木ではなく遠くに見える木ばかりを見ていた
一本一本の輪郭までははっきりと見えない
それでもその向こうに何かがあるような気がして視線を向けてしまう
理想の断片であり 憧れであり不安であり自分に欠けている何かかもしれない
それはゴールではなく探し続けることそのもののように思えた
一方で山はいつも近くにあった
家族や友人 出会いと別れこれまで支えてくれた人たち
今の自分を形づくっているものは振り返ればいつも身近な場所にあった
けれど近くにありすぎるものは輪郭を失う
見えなくなったのではなく見えているはずなのに気づけなくなる
遠くの木は見えない 近くの山は見えている それでも時々その大きさを忘れてしまう
それでも 今ここにいるこの事実は変わらない
三十年という時間は決して一人では積み重ならなかった
だからこそ 今ここにいることは当たり前ではないのだと思う
三十年という時間を振り返ろうとして山へ向かったはずが見えてきたのは答えではなく問いだった
自分は何を見ていて何を見落としているのだろう
遠くの木を見ながら、近くの山のことを考える。
*Ⅲ/Three
sowcue.を会場に3人の写真家によるグループ展に参加。

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